【八楽舎代表へのインタビュー②】

──今後、八楽舎として「固定費適正化」を一緒に進めていきたいのは、どのような事業者でしょうか。

八楽舎代表 松田

コスト適正化の必要性をわかっていながら、人手が足りなかったり、日々の業務に流されて後回しになっているような事業者さんですね。
半年先延ばしにすれば、本来、適正化ができていた半年分の損失を生みますので、迷わず先延ばしせずに、削減額の試算だけでもご依頼いただきたいです。

──八楽舎の固定費適正化の範囲は、ガス・電気・水道から固定資産税までと幅広いのですが、その中で削減率の高いものはどれでしょうか?

八楽舎代表 松田

水道ですね。
3施設合計で水道だけで2,600万円の削減を行った実績もあります。
介護事業で2,600万円の利益を出すには、8億6千万円の売り上げが必要ですが、適正化しただけでこれだけの利益を出せたのは、事業者様にとっても大きなインパクトだったと思います。

──水道だけで2,600万円は確かに大きいですね。削減しやすい施設の業態はありますか?

八楽舎代表 松田

有料老人ホームのような、業態が1種類の施設は削減効果が出やすいです。
たとえば、特別養護老人ホームの場合ですと「デイケア」+「入居施設」と業態が2種類に分かれており、どちらの業態でどれだけの水道利用量であったのかを切り分ける必要があります。

明確に切り分けるには、別途、工事が必要となり、この工事にかなり費用がかさみます。八楽舎でお受けすれば工事費はいくらかお安くできますが、それでも工事費の回収に3年かかることもあるのです。

──なるほど。ところで八楽舎は削減額の試算は無料で引き受けていらっしゃいますよね。実際に試算を依頼し、八楽舎へコンサルティングを依頼されない事業者様には、どのような事情があるのでしょうか。

八楽舎代表 松田

試算をお出しした事業者様の3割ほどはコンサルティングを見送られます。主な理由としては、

(1)すでに十分にコスト適正化ができていた

(2)大きく適正化できることはわかったが、コンサルフィーを払うくらいなら自分たちでやりたい

(3)担当者はコンサルティングを依頼したいと考えているが、オーナーが「外注はせずに自分たちで適正化すべき」という考えで依頼できない

この3つに絞られます。

(1)の場合は、コスト適正化の健康診断をさせていただいた結果「結果◎」ですので、コンサルティングに結び付かなくてもいいのです。「コスト適正化はできているので、利益を生むには別の施策が必要だ」という結論を出すお手伝いができたわけですから。

問題は(2)と(3)ですね。
「自分たちでやってみる」と仰って、その後、実際に取り組んだという実例をまだお聞きしたことがないので、やはり多忙な業務に流されて後回しになっているのだと思います。

先程も申し上げたように、半年先延ばしすれば、半年分キッカリ損をしますので、この機会損失は計り知れません。

──現場スタッフは必要性を感じているのに、オーナーや上長に納得してもらえないのは辛いですね。オーナーはともかく、上長は異動などで人が代わることもありますよね。(3)の理由でコンサルティングを断念した事業者に再びアプローチされたりしていますか?

八楽舎代表 松田

・・・申し訳ありません、現在はしておりません。ご新規のお申し込みが多く、対応に追われておりまして、なかなかそこまではフォローしきれていないのが現状です。

──今後、事業者は国の方針転換に対応できるのでしょうか?

八楽舎代表 松田

現在の箱型ケアから自立支援型ケアに移行するにあたり、デイケアや老人保健施設などは、機能訓練のノウハウを積み上げてきていますので、方針転換にも適応できるのではないでしょうか。

ただ、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)のような業態の施設は、自立支援のノウハウをあまり持っていないので、適応するまでに時間がかかるでしょう。

国の方針転換により、介護報酬を減額された有料老人ホームやサ高住の施設閉鎖が今後増えることを危惧しています。

一般的なサラリーマン家庭の年収で、有料老人ホームやサ高住の入居費用を支払おうとすると大きく家計を圧迫します。

要介護度がさほど高くなく、特養に入れず、有料老人ホームの料金が高くて入居を諦める場合、家庭で介護する以外に選択肢がありません。

共働き家庭が増え、晩婚化により「親が高齢だが、子供もまだ手がかかる年齢」という家庭も多い中で、選択肢が「自宅介護一択」であることは、多くの介護者家族を追い詰めることになるでしょう。

国は少なくとも2025年までは、有料老人ホームやサ高住に支援をし、介護者家族が自宅介護で苦しむことの無いよう、政策の見直しが急務であると考えます。

そして、八楽舎では、固定費適正化のコンサルティングを通じて、安定経営の事業者様を増やし、介護利用者も介護者家族も安心して施設を利用できる環境を作っていきたいと考えています。

──介護報酬改定で介護事業者の事業モデル変革が求められるいま、八楽舎のコンサルティングは今後ますますニーズが高まりそうですね。今日はありがとうございました。

八楽舎代表 松田

こちらこそありがとうございました。

(インタビュアー)佐藤 麻子