看取り介護のニーズが高まる中で求められる体制強化について

2040年看取り難民問題

私の親世代である【団塊の世代】が平均寿命を迎えるのが2040年。
年間死亡者数が現在の1.5倍である167万人に達し、内41万人が病院のベッド不足などにより、最期を迎える場所のない「看取り難民」になると言われています。

このような現実を前に、介護施設での看取りが強化。
平成18年の介護報酬改定時に創設された「看取り介護加算」は、平成30年度の介護報酬改定で拡充され、従来からある「看取り介護加算」に加え、「看取り介護加算Ⅱ」が新設されました。

平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度査)によると、特別養護老人ホーム:76.1%、老人保健施設:64.0%、介護療養型医療施設:81.9%が、施設内で看取りを行なっていると回答。

少しでも長く生きられるようにと「生命を維持すること」が優先されていた終末期から、「その人らしい最期を迎えるために、静かに死を受け入れる」終末期を本人や家族が望むようになり、病院から介護施設へと、終末期を迎える場所が移行しつつあります。

介護施設に求められる取り組み

看取り介護のニーズが高まる中、介護施設の体制強化が求められます。
医療機関との密な連携はもちろんのこと、介護スタッフが行う医療行為の幅も広げる必要があり、介護福祉士の資格取得を推奨するなどの施設側の取り組みが必要となるでしょう。

また、医療ケアなどの技術面のほかにも、介護スタッフの精神的負担にも配慮しなければなりません。介護スタッフは医療スタッフほどには「人の死」には慣れていませんので、看取りに立ち会ったあとのメンタルケアが必須です。
利用者に向き合う介護スタッフが、一人で責務を背負い込みすぎることなく、悔いなく対応できるよう、関係者間のカンファレンスや看取り介護計画を充実させる必要もあります。

在宅での看取り介護

厚生労働省の調査によると、「最期まで自宅で過ごしたい」という人は全体の約10%です。ただし、これは「家族に負担をかけたくない」という思いがあってのこと。
「自宅で介護を受け、必要になったときにだけ、医療機関や緩和ケア病棟に入りたい」という人も合わせると、在宅看取りを望む人は全体の約60%にのぼるそうです。
慣れ親しんで家で、見慣れた家具や庭の風景を愛でながら、家族に囲まれ、静かに眠るように最期を迎えたいというのは、人間のごくごく自然な感情です。

このような背景もあり、厚生労働省では、現在、在宅看取りの体制強化を目指しています。
介護施設であれば、医療スタッフ含め、複数のスタッフが揃っている為、容態急変などにも臨機応変に対応できますが、在宅看取りとなると、医療スタッフ不在時においては、介護施設以上に介護スタッフによる、医療ケア、医療行為が求められます。

これからは「介護サービスの質」だけではなく、看取り介護に対応できる施設であるかどうか。さらには、在宅看取りへの切り替えに対応できる施設であるかが、施設選びのポイントのひとつになります。

利用者様やご家族に選ばれる施設となるために、看取り介護のサービス拡充に向けた、体制作りが急務と言えます。