故郷天草の魅力

今回は私の故郷「熊本県天草市」について、学生時代の話も交えながら紹介させてください。

18歳まで過ごした故郷天草

私の故郷は、現在は合併され「天草市」となった、合併前の「本渡市」という地域です。天草地方最大の人口を擁し、天草芦北地方の行政、商業、交通の中心地であった本渡市に18歳まで暮らしていました。

私は3人兄弟の長男で、高校時代は野球部に所属。丸刈り頭にジャージ姿の「オシャレ」とは無縁の生活を過ごす日々。

父は祖父が築いたタクシー会社を社長である叔父と一緒に経営。母も経理や事務を手伝っていました。今思えば、母は家業手伝いに家事に3人の子供の育児にと目まぐるしい毎日だったことでしょう。本当に感謝しています。

今年の年始に帰省したときには、初めて母と二人で温泉旅行に出かけ、久しぶりに親子水入らずでじっくりと話をする機会を持ちました。父はすでに他界しておりますので、母にはずっと元気でいてほしいものです。

大学では厳しいサークルに所属

子供時代の私のコンプレックスは「標準語が話せないこと」でした。

天草の外に出る機会は野球の遠征試合くらいでしたから、東京から従兄弟たちが遊びに来たときにも、彼らの話す標準語についていけず、ドギマギしたのを憶えています。

そんな言葉のコンプレックスを抱いたまま、福岡の大学に進学。
「天草の中ではそれなりに都会」だと思っていた地元が、とてつもなく田舎だということをイヤというほど思い知り、級友たちが博多弁を交えつつも標準語を話せることに焦りを感じつつ、学生生活がスタート。

サークルは「学術文化部会旅研究部」に所属。
とくに旅が好きだったわけではありませんが、サークル勧誘で「沖縄旅行に連れて行ってあげる」と言われたのが入部の動機です(笑)

入ってみると、実態は部員数120人もの伝統あるサークルで、厳しい規律についていけず最初は本当に嫌でした。

それでも辞めずに続けているうちに、最終的にはサークル内で4つあるグループのうちの1グループ「松田班」を取り仕切る立場となり、サークルの役員に。

役員ミーティングのときには「学ラン着用」が義務付けられていたり、飲み会のときには後輩全員に奢るなど、古いしきたりの残るサークルではありましたが、次第に友人も増え、いつのまにか言葉のコンプレックスも消え、楽しくも有意義な大学時代を送ることができました。

サークル時代に「人をまとめること」「リーダーシップ」のベースを学べたことは、私の大きな財産です。

天草は唯一無二の場所

さて、話を天草に戻しましょう。

みなさん「天草」と聞いて、最初になにを思い浮かべるでしょうか?

天草の海?イルカ?

「天草キリシタン」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

「天草キリシタン文化」は、天草に生まれ育った私にとって身近なものであり、小中学校時代には、学校行事の一環で市内の歴史資料館を幾度も訪れました。
ただ、「キリシタン文化」について興味を抱いたのは、実はごくごく最近のこと。

天草にはいくつものキリシタンに関する「歴史資料館」が存在しますが、その中には「キリシタン弾圧の悲惨さ」を伝えるものもあれば「キリシタン大名」や「キリシタン貿易」について伝える資料館もあり、その内容は様々です。

天草の「隠れキリシタン」は、観音様をマリア像に見立て仏教徒を装ったり、嫌疑から逃れるために、わりとあっさり踏み絵を踏んでいたという史実も残されており、「キリシタン文化」はあらゆる角度から検証されている文化なのだと、改めて興味を持ちました。

天草の魅力

天草には海も山もあり、新鮮な魚も地の野菜も美味しい魅力ある街なのですが、最大の魅力は、「どこにでもある場所じゃない」「独自の歴史を持つ唯一無二の場所」という点です。

大学時代もサラリーマン時代も、帰郷すると「ホッとする」という感覚を持ってはいましたが、ここ最近は、さらに故郷の天草に特別な思いを抱くようになりました。

高校の同級生の多くが天草市役所に勤めており、同窓会で彼らから地域活性に関する取り組みについて話を聞いたことも大きく影響しているかもしれません。

変化の激しい時代です。

時代の波に乗れず、衰退する産業も増えています。
一方で変化の激しい時代だからこそ、個人が何かを成し遂げやすいとも言えます。

私自身、サラリーマンを辞めたあとに八楽舎を立ち上げ、強く実感したことは、「大きな会社組織でなくとも、個人の力だけでも、大企業と対等に仕事ができる時代になった」ということです。

私が八楽舎創業で得た「スモールスタートでのビジネス構築ノウハウ」が故郷天草のさらなる発展に微力ながら役立てればと、地元で奮闘する同級生たちの力になれればと、最近は帰郷するたびに考えております。

地域が支える認知症サポートについて

認知症患者増加の状況

介護が必要な65歳以上の認知症患者数は、2002年には149万人でしたが、2012年の時点で300万人を超え、わずか10年で倍増しました。
そして2015年には345万人まで増加。65歳以上の人口に占める割合は10.2%。
団塊世代の高齢化が進む2025年にはさらにその割合が増すと考えられています。

出典:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~の概要(厚生労働省)を基に三菱UFJ信託銀行が作成

認知症患者増加の理由

なぜこれほどまでに認知症患者が増えたのか。
歳を取れば身体だけではなく脳も衰えます。高齢になればなるほど認知症患者の割合は増加。 80歳を超えると5人に1人以上、90歳を超えると2人に1人以上が認知症になると言われており、認知症は誰もがなる可能性があるのです。また、身体の老化と異なり、脳の衰えはなかなか目に見えず発見が遅れがちであることも、介護を必要とする認知症患者増加の一因と言えるでしょう。

新オレンジプラン

2013年に策定された「オレンジプラン」が「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現」を目指し、2015年に「新オレンジプラン」として策定されたことはみなさまご存知のとおりです。認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて、認知症という病気に対する啓蒙も含め、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を包括的にケアするための戦略が進められています。

(参考)新オレンジプランの7つの柱

1)認知症への理解を深める為の普及・啓発の推進

2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供

3)若年性認知症施策の強化

4)認知症の人の介護者への支援

5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進

7)認知症の人やその家族の視点の重視

認知症患者増加に向けた各取り組み

国が「新オレンジプラン」を推し進める中、介護業界のニュースにも認知症に関する取り組みの話題が増えてきました。

武田病院グループでは、今年の三月に京都府宇治市の補助事業として「京都認知症総合センター」を開設。認知症の初期から人生の最終段階まで、暮らし慣れた地域で顔なじみのスタッフから安心して介護を受けることができる総合施設として、認知症の人を支えるモデル構築を目的とした施設の運営を始めました。

予防の分野においては、奈良県天理市がKUMONでおなじみの「公文教育研究会」と「慶応義塾大学SFC研究所」と共同で「脳の健康教室」を活用した成果連動型支払いによる事業を実施。参加高齢者の認知機能をはじめとする成果目標をすべて達成したことが話題となっています。

認知症の高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには

厚生労働省は、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」を全国で養成。サポーター数は2018年3月末時点で1千万人を超えましたが、高齢者介護に携わっていない世帯や個人においては、「新オレンジプラン」も「認知症サポーターキャラバン」も、あまりなじみのない言葉のようです。

認知症高齢者や介護家族が、住み慣れた場所で周囲に見守られながら安心して暮らし続けるには、近隣の理解とサポートが必要不可欠です。

日々のニュースであまり取り上げられることのない「新オレンジプラン」「認知症サポーター」といった取り組みが、日常的な会話にのぼるくらいに広く知られるように、介護業界に携わるものとしてなにができるかを考えていきたいと思います。

※認知症サポーターキャラバンについて詳しくはこちら

ブランディングを強化するためのストレングスファインダー活用法とは

ストレングスファインダーを活用するためには

ストレングスファインダーのテストを受けると、1位から34位までの自分の資質(強みと弱み)を知ることができますが、資質を知っただけでは行動に変化を起こすことはできません。

自分の持つ資質の意味を深く理解し、【自ら行動に移せるレベル】にまでならなければ意味がないと言えます。

私を含め、八楽舎社員全員で「ストレングスファインダー研修初級」を受講した理由はここにあります。

ストレングスファインダー活用の目的とは

「社内の人間関係をさらに円滑にし、効率よく業務を進めること」

これも研修を受けた目的のひとつですが、実は一番の目的と言えるのが「八楽舎のブランド作り」です。

関係性の良好な組織が、お客様満足度の高いサービスを作り出し、企業のブランド価値を上げ、事業基盤を強固なものにします。

私たちは、創業3年目の若い会社ですから、より多くの方に八楽舎を知ってもらうために、八楽舎が本気で介護業界のお役に立ちたいと考えている企業だと知っていただくためにも、ブランド作りは優先的に取り組むべき課題です。

企業のブランドを作る上で重要視されるのが

・他社と明確に差別化できる、オンリーワンの独自事業

・オリジナリティのあるデザインコミュニケーション

・情熱を持ち続けられるチーム

と言われています。

以前のブログでもご紹介したとおり、八楽舎の「介護施設の固定費削減コンサルティング」という事業サービスは、専業でやっている企業がほとんどない、独自のサービスと言えます。

そしてこちらもブログでご紹介しましたが、社名に思いを込め、八楽舎のロゴや名刺デザインにもオリジナリティを出しています。

そして最後の「情熱を持ち続けられるチーム」については、元々、円滑なコミュ二ケーションが取れていましたが、さらに「同じ目標に向かってチーム一丸となり、挑んでいける体制作り」ができればと考えていました。

そんなときにパートナー企業様にご紹介いただいた「ストレングスファインダー初級研修」

さて、その結果は・・・

研修受講後の様子

研修受講後に見られた変化は大きく3つです。

1)自分の強みを深く理解することで、自分だけの「勝ちパターン」を生み出せるようになる=業務効率化

2)自分と他人の違いを知ることで、相手の苦手とすることも、相手の強みとセットで認めることができる=良好な関係性の構築

3)強みを活かしあい、弱みを補完しあうことで、さらに強い社内体制が整う=業務効率化、ブランディング強化

もともと「円滑なコミュニケーションが取れている」チームだったのが、研修受講後はさらに一皮向けて「同じ目標に向かって挑めるチーム」になりつつあると感じています。

ちなみに私自身のことをお話ししますと、私の上位資質には「戦略性」が入っているのですが、「戦略性」が高いからといって戦術に長けている、、、というわけではなく、「自分にしかわからない、三段飛ばしの指示を与えがち」というマイナス面があることを知りました(笑)

これを知ってからは、意識的に「詳細に」「相手に伝わるように」話しているつもりですが、社員にどう思われているのでしょうか。聞いてみるのが少し怖い気もします。

「ストレングスファインダー初級研修」を受講した私たちは、強いチーム力を武器に、さらなるサービス向上を目指してまいります。

そんな私たち八楽舎を今後も応援していただけますと幸いです。

職場の人間関係を円滑にするために

離職理由の一位は人間関係

介護職の離職理由の一位は「人間関係」であり、他の業界と比べても高いと言われています。

要因として考えられることのひとつが、介護の職場環境。
介護職に従事するスタッフの7割以上が女性で、年代は40代前半を中心に20代〜60代までと幅広い層が一緒に働いているのが特徴です。

相手の心の機微に敏感な女性が多いことで、利用者の心に寄り添うケアができるメリットがある反面、職場の人間関係という点においては、女性特有の気遣いが必要な場面もあるでしょう。

また、幅広い年代層が同じ職場にいることで、年代による価値観の相違が生まれ、意見をまとめるのが難しいという面もあるようです。

積極的なコミュニケーションを苦手とする介護スタッフ

介護スタッフまたは介護スタッフを志す方の資質として【積極的なコミュニケーション】を不得手とする人が多いのも、人間関係が離職理由の一位に上がる要因のひとつです。

仕事柄、相手の思いを汲んで対応する【受け身のコミュニケーション】は得意ですが、自分の意見や考えを「上手く相手に伝える」ことを苦手とする人が多く、結果、誰にも相談できずに不満を溜め込んでしまい、本人の中で我慢の限界がきて、退職の意思を告げる、というパターンになりがちです。

八楽舎で取り組んでいること

当社も女性の多い職場です。
女性スタッフ全員が、小さなお子さんを持つ母親でもあるので、出社せずに自宅作業OKとする「リモート勤務」を推奨しています。

通常の仕事のやり取りにはスマホのメッセージを使っており、毎日、相当な頻度の会話が交わされています。相手の顔は見えずとも、信頼関係が築けているので、まるで社内で会話をしているかのように円滑なコミュニケーションが取れています。

実は今回、さらにお互いの特性を知ることで、より業務が効率化できるようにと、ある研修を社員全員で受講してきました。

その研修とは・・・「ストレングスファインダー初級研修」

ストレングスファインダーとは、アメリカの組織コンサルティング会社であるギャラップ社が「人は自分の弱みを改善するよりも、自分の強みに意識を向けそれを活かすことで最大の能力を発揮する」という考え方に基づき開発したツールで、Webサイト上で177個の質問に答えていくことで、自分の強みを知ることができるものです。

社内メンバー全員で受講し、自分の資質とあわせてメンバーの資質を理解することで、お互いの強みを活かし、業務を円滑に遂行することが可能となります。個々の強みを理解することで、考え方や進め方の違いを批判しあうのではなく、強みとして活用しあう。弱みを補いあうことで大きなシナジー効果が期待できます。

参考)ストレングスファインダーとは

さて、ストレングスファインダー研修を受けた当社社員に、チーム間コミュニケーションにおいてどのような変化が現れ始めているのでしょうか。

次回ブログでは、ストレングスファインダーについてさらに詳しくお話しいたします。どうぞお楽しみに。

八楽舎の今後の展開について

八楽舎の松田です。
当社についてご紹介させていただくブログの最終回は、八楽舎の今後の方向性についてお話いたします。

3年間の振り返り

事業をスタートさせるときにもともと持っていたノウハウが、この3年間でさらにブラッシュアップされ、スタッフの採用含めた社内環境も整い、事業者様によりハイレベルなサービスをご提供できる状態になりました。

特に、サービス導入前に「どれだけ削減効果が見込めるか」を検証させていただく「コスト適正化診断提案書」の確度の高さや、サービス導入後に毎月お出しする「適正化レポート」の内容の充実ぶりは、事業者様にも大変ご好評いただいており、当社としても力を入れているサービスです。

今後の目標

「事業を拡大することが今後の目標ですか?」と、よくご質問いただくのですが、事業拡大そのものを目標とはしていません。事業拡大はあくまで結果論に過ぎないと考えています。

この3年間、八楽舎のサービスをご紹介し、導入してもらい、事業者様の喜びの声を直で受け止める中で、当社のサービスに絶対的な自信をもっておりますし、当社のサービスをより多くの事業者様に知ってもらいたいという思いが強くあります。

経営で苦労されている事業者様に「楽になって」いただき、多くの事業者様に経営を継続してもらうこと。

事業者様の経営が軌道に乗ることで、利用者様が安心して、これまで通りに居心地の良い施設を利用し続けられること。

これが八楽舎が目指す一番の目標です。

介護業界において「固定費コスト削減」を専門に扱う会社がほかに見当たりませんので、「固定費削減のプロフェッショナル」として、今後も多くの事業者様のお役に立ちたいと考えております。

八楽舎創業の想い

八楽舎代表の松田です。

おかげさまで当社は、今月4月で創業3年目を迎えました。

これもひとえに八楽舎のサービスを支持してくださるお客様、八楽舎を盛りたててくださる介護業界のみなさま、共に働く仲間たちのおかげです。

そこで、今週から3週にわたり
「八楽舎創業の想い」
社名【八楽舎】の由来
「八楽舎のこれから」

この3つについて、ブログの中でお話ししていきたいと思います。
初めてお話しする内容もありますので、どうぞお付き合いくださいませ。

八楽舎創業のきっかけ

お客様である施設関係者のみなさまや、介護業界に関わるみなさまに、よくご質問をいただきます。

「介護業界の人ではなかった松田社長が、どうやっていまの八楽舎のサービスを思いついたの?」

私は熊本県天草の出身なのですが、たまたま参加した同窓会で、友人が「固定費コスト削減」のサービスを個人事業として運営していることを知りました。

最初に友人から削減ノウハウを聞いたときには「本当にコスト削減が可能なのか?」

と半信半疑だったのですが、契約先の担当をいくつか引き継がせてもらい、導入時のシミュレーションプランや毎月のコスト削減レポートを自分なりに分析していくなかで、ひとつのことを確信したのです。

「初期費用をかけずに、確実にコスト削減ができる独自ノウハウは、多くの介護事業者の経営状態を良好にする本物のノウハウである」

事業として大きく展開できるサービスではないかと感じたのです。

事業展開におけるリスク

ただ、ノウハウが本物であると確信したものの、本格的に事業展開するには迷いもありました。

「大手コンサルティング会社がひしめく中で無名ベンチャーとしてイチからの参入」

「もとは個人事業主が細々と運営していたサービス」

「社長である自分は介護業界経験ゼロで起業も初挑戦」

このようなマイナス条件が揃う中、開業に踏み切るのは無謀だと周囲に言われました。

創業にかけた想い

不安を感じる中で私を突き動かしたもののひとつが2015年の介護報酬改定です。改定により、多くの介護事業者が経営上の打撃を受けたという話や、介護保険の点数を稼げなくなり、介護施設が閉鎖に追い込まれるという話も聞きました。

「介護施設の廃業」で脳裏をよぎったのが亡くなった父親のことです。

父親は故郷天草の特別養護老人ホームで手厚い介護を受け、職員のみなさまに本当に良くしていただき、最期は家族と職員のみなさまに見守られて安らかに最期を迎えることができました。

介護施設の利用者にとって、介護施設は「第二の家」。

施設の廃業により、利用者は通い慣れた施設から別の施設へと移ることを余儀なくされる。家族同様に接していたスタッフさんとも会えなくなる。

「確実にコスト削減ができる」八楽舎のノウハウを取り入れてもらえれば、施設経営者、スタッフだけではなく、利用者にも喜ばれる。利用者が慣れ親しんだ暮らしを手放さずに済む。

これほど多くの人を幸せにできるビジネスプランはないと思い、八楽舎の開業、介護業界への本格的な参入を決意するに至りました。

さて、ここまで、八楽舎の創業に至る経緯をお話しいたしました。

次週は、これもよくご質問いただく、社名「八楽舎」の由来についてお話しいたします。どうぞ引き続きお付き合いくださいませ。

八楽舎代表 松田浩幸

「介護甲子園」ご存知ですか?

──2月に大阪で開催された「介護甲子園※」を見に行かれた感想を今日は聞かせてください。まず、どういう経緯で参加することになったのでしょうか。

八楽舎代表 松田

主催である「介護協会」の方にお誘いいただき行ってきました。
今回で7回目で大阪開催は昨年に続き2回目。年々、規模が大きくなっているようです。

──「介護甲子園」というネーミングもインパクトがありますね。
どのくらいの数の事業所が参加しているのでしょうか。

八楽舎代表 松田

日本全国6,000箇所の事業者がエントリーし、事前審査を経て、出場出来るのはたったの6チーム。決勝大会に出場したチームは、どこも気合が入っていましたよ。

──発表内容はどのようなものが多いのでしょうか?

八楽舎代表 松田

「職場環境の改善」が多かったですね。
人事面談を多くしたり、声がけをしあったり、コミュニケーションの機会を増やして職場の人間関係を円滑にしていった様子を、お芝居を取り入れながら臨場感たっぷりに表現されているチームもあり、伝わってくるものがありました。

──やはりいちばんの課題は「職場の人間関係」なんですね。

八楽舎代表 松田

離職理由として最も多いのが「人間関係」ですからね。
介護職を志望される方は、ホスピタリティが高く、心根の優しい方が多いので、「人との摩擦」「人との交渉」を苦手とされる方が多いんです。

不満に感じていることを口に出せぬまま、人間関係を改善することができず、退職されてしまう方が多い。

この課題を「しくみ化」して、スタッフみんなが「意見しやすい職場」「チームメンバーを気にかける職場」を作り上げているのだなと感じました。

──職場の人間関係の良さがなによりも重要なのですね。

八楽舎代表 松田

介護現場は利用者様との「対人コミュニケーション」が主となる業務ですので、職場のチームメンバーと円滑なコミュニケーションを取り、自分自身が楽しく仕事をすること、楽しい雰囲気を利用者様にも感じてもらうことが、サービス向上につながるのだと思います。

発表されていたチームは、自分たちのチーム力がサービス向上に直結することを理解して、取り組んでいるのだなと感じました。

──なるほど。どの職場もそうだとは思いますが、介護現場はチーム力の高さがサービス向上につながる職場なんですね。

「職場環境の改善」以外には、どんな発表がありましたでしょうか。

八楽舎代表 松田

デイサービスを運営している事業者の発表が興味深かったです。

「施設らしい施設では機能訓練にならない」
「施設は動線が整い過ぎている」

という考えのもと、あえて室内に段差を設けるなど、「自宅に近い」状態の施設を作り、利用者様が自宅に帰られたときに、スムーズに生活できることを考えて運営されているそうです。

──それはおもしろい取り組みですね。

八楽舎代表 松田

そのほかにも、食堂を居酒屋形式にされているそうです。
お酒は出さないけれど、昔、仕事帰りに一杯やってから帰宅していたお父さんたちが懐かしんでくれるように、、、という想いがあるそうです。

──とことん、利用者様目線に立って施設作りをされているのですね。
そんな面白い取り組みをされている施設の存在が、もっと知られるといいですね。

八楽舎代表 松田

そうですね。介護甲子園を毎年開催する意義もそこにあると思います。
家族が施設に通っていない、入居していない限り、なかなか介護施設のことを知る機会はありませんから。

メディアに取り上げれらるのは、事件や事故の暗いニュースが多くなります。全体から見たらほんの一握りの施設のイメージが、介護施設全体のイメージ悪化につながることを心から残念に思います。

業界のイメージ悪化が、介護職離れを助長している気もします。

「介護甲子園」は、介護職を目指す学生さんにも、ぜひ見にきてほしいイベントですね。

──介護職のイメージアップにもつながる有意義なイベントですね。
今日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

八楽舎代表 松田

こちらこそ、ありがとうございました。

介護甲子園とは

「介護甲子園」とは、介護から日本を元気にしたいという想いを持つ全国の同志により開催される、介護業界に働く人が最高に輝ける場を提供するイベントです。

全国からエントリーされた介護事業所のうち、独自の選考基準で選ばれた優秀事業所が、年一回、数千人が集う大会場に集結します。

ステージで事業所の想いや取組みを発表し、介護甲子園における日本一の事業所を決定します。

介護業界で働いている人が夢や誇りを持てるイベントにすることを目指し、介護ってカッコいいと憧れる職業であると賞賛していただく機会とします。

第一回大会では1.500人の来場者があり、観客の前で熱いメッセージを伝える感動のイベントとなりました。

介護甲子園は非営利を目的とし社団法人日本介護協会が運営、介護甲子園をきっかけとして全国各地で生まれた、介護業界を皆で活性化しようとする取組みを年間を通して支援します。

介護甲子園公式サイト
http://kaigokoshien.org/

介護甲子園公式Facebook
https://www.facebook.com/kaigokoushien/

(インタビュアー)八楽舎 広報 佐藤 麻子

【八楽舎代表へのインタビュー②】

──今後、八楽舎として「固定費適正化」を一緒に進めていきたいのは、どのような事業者でしょうか。

八楽舎代表 松田

コスト適正化の必要性をわかっていながら、人手が足りなかったり、日々の業務に流されて後回しになっているような事業者さんですね。
半年先延ばしにすれば、本来、適正化ができていた半年分の損失を生みますので、迷わず先延ばしせずに、削減額の試算だけでもご依頼いただきたいです。

──八楽舎の固定費適正化の範囲は、ガス・電気・水道から固定資産税までと幅広いのですが、その中で削減率の高いものはどれでしょうか?

八楽舎代表 松田

水道ですね。
3施設合計で水道だけで2,600万円の削減を行った実績もあります。
介護事業で2,600万円の利益を出すには、8億6千万円の売り上げが必要ですが、適正化しただけでこれだけの利益を出せたのは、事業者様にとっても大きなインパクトだったと思います。

──水道だけで2,600万円は確かに大きいですね。削減しやすい施設の業態はありますか?

八楽舎代表 松田

有料老人ホームのような、業態が1種類の施設は削減効果が出やすいです。
たとえば、特別養護老人ホームの場合ですと「デイケア」+「入居施設」と業態が2種類に分かれており、どちらの業態でどれだけの水道利用量であったのかを切り分ける必要があります。

明確に切り分けるには、別途、工事が必要となり、この工事にかなり費用がかさみます。八楽舎でお受けすれば工事費はいくらかお安くできますが、それでも工事費の回収に3年かかることもあるのです。

──なるほど。ところで八楽舎は削減額の試算は無料で引き受けていらっしゃいますよね。実際に試算を依頼し、八楽舎へコンサルティングを依頼されない事業者様には、どのような事情があるのでしょうか。

八楽舎代表 松田

試算をお出しした事業者様の3割ほどはコンサルティングを見送られます。主な理由としては、

(1)すでに十分にコスト適正化ができていた

(2)大きく適正化できることはわかったが、コンサルフィーを払うくらいなら自分たちでやりたい

(3)担当者はコンサルティングを依頼したいと考えているが、オーナーが「外注はせずに自分たちで適正化すべき」という考えで依頼できない

この3つに絞られます。

(1)の場合は、コスト適正化の健康診断をさせていただいた結果「結果◎」ですので、コンサルティングに結び付かなくてもいいのです。「コスト適正化はできているので、利益を生むには別の施策が必要だ」という結論を出すお手伝いができたわけですから。

問題は(2)と(3)ですね。
「自分たちでやってみる」と仰って、その後、実際に取り組んだという実例をまだお聞きしたことがないので、やはり多忙な業務に流されて後回しになっているのだと思います。

先程も申し上げたように、半年先延ばしすれば、半年分キッカリ損をしますので、この機会損失は計り知れません。

──現場スタッフは必要性を感じているのに、オーナーや上長に納得してもらえないのは辛いですね。オーナーはともかく、上長は異動などで人が代わることもありますよね。(3)の理由でコンサルティングを断念した事業者に再びアプローチされたりしていますか?

八楽舎代表 松田

・・・申し訳ありません、現在はしておりません。ご新規のお申し込みが多く、対応に追われておりまして、なかなかそこまではフォローしきれていないのが現状です。

──今後、事業者は国の方針転換に対応できるのでしょうか?

八楽舎代表 松田

現在の箱型ケアから自立支援型ケアに移行するにあたり、デイケアや老人保健施設などは、機能訓練のノウハウを積み上げてきていますので、方針転換にも適応できるのではないでしょうか。

ただ、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)のような業態の施設は、自立支援のノウハウをあまり持っていないので、適応するまでに時間がかかるでしょう。

国の方針転換により、介護報酬を減額された有料老人ホームやサ高住の施設閉鎖が今後増えることを危惧しています。

一般的なサラリーマン家庭の年収で、有料老人ホームやサ高住の入居費用を支払おうとすると大きく家計を圧迫します。

要介護度がさほど高くなく、特養に入れず、有料老人ホームの料金が高くて入居を諦める場合、家庭で介護する以外に選択肢がありません。

共働き家庭が増え、晩婚化により「親が高齢だが、子供もまだ手がかかる年齢」という家庭も多い中で、選択肢が「自宅介護一択」であることは、多くの介護者家族を追い詰めることになるでしょう。

国は少なくとも2025年までは、有料老人ホームやサ高住に支援をし、介護者家族が自宅介護で苦しむことの無いよう、政策の見直しが急務であると考えます。

そして、八楽舎では、固定費適正化のコンサルティングを通じて、安定経営の事業者様を増やし、介護利用者も介護者家族も安心して施設を利用できる環境を作っていきたいと考えています。

──介護報酬改定で介護事業者の事業モデル変革が求められるいま、八楽舎のコンサルティングは今後ますますニーズが高まりそうですね。今日はありがとうございました。

八楽舎代表 松田

こちらこそありがとうございました。

(インタビュアー)佐藤 麻子

【八楽舎代表へのインタビュー①】介護業界の現状と今後八楽舎が提供するサービスについて

「介護業界の業態の多さに驚きました」

──松田社長はまったく畑違いの金融業界から転身され、八楽舎を立ち上げたとお聞きしました。八楽舎のコンサルティングサービスを始めるにあたり、介護業界についてイチから勉強されたそうですが、最も驚かれたのはどんなことでしょうか?

八楽舎代表 松田

介護業界の業態数の多さです。
さすがに最近は「老人ホーム」と一括りにした呼び方はしませんが、それでもほとんどの方が、家族がお世話になっている施設のことしか知らないのではないでしょうか。

私自身も90歳になる祖母が特別養護老人ホーム(以下、特養)に入居していたので、介護施設といえば特養のイメージしかなく、施設というのは「余生を安全に過ごす場所」という考えでした。

実際には、入居型施設の中にも、介護老人保健施設があり、特養があり、有料ホームがあり、その他にも、デイケアサービスや、認知症の方だけを受け入れるグループホームなどがあります。

サービスを受ける方の状態や状況にあわせて、これだけ多種多様な業態を持つ業界もなかなか珍しいのではないでしょうか。

──確かにそうですね。

私自身も亡くなった父がお世話になった「介護老人保健施設」と「特養」については、それなりに調べたので知っていますが、父が利用しなかった「デイサービス」や「グループホーム」についてはほとんど知りません。

八楽舎代表 松田

多くの方がそうなのだと思います。

私も八楽舎のサービスを始めていなければ、知らないままでいたでしょう。
知識のないまっさらな状態から多くの業態について詳しく調べていくうちに、どの業態にも八楽舎の提供するサービスが必要であると確信しました。

業態数が多く、ひとつの業態が提供するサービス内容が多岐にわたる介護の世界で、コスト削減のお役に立ちたいと改めて感じたのです。

「運営コスト適正化が行われてこなかった理由」

──介護業界はまだまだ新しい業界ですが、2025年問題を前に、ここ数年、介護報酬改定など、事業者にとって大きな影響を与える変化が何度も訪れています。

そのような中で、介護事業者の傾向に変化は見れますでしょうか。

八楽舎代表 松田

前回2015年の介護報酬改定は、想定内であったとはいえ、業界に大きな衝撃を与えました。

もともと日本の公的介護制度は、各自治体が社会福祉の一環として運営してきました。やむを得えない理由がある人を行政措置の範疇で面倒をみるという制度です。

──なるほど。それまでは自宅での介護が一般的でしたよね。

八楽舎代表 松田

そうですね。
それが2000年にスタートした介護保険制度により、介護を必要とする人が「必要なサービス」を自由に選択できるようになりました。

介護サービスに大きなニーズが生まれたため、多くの異業種から、介護業界への参入がスタートしたのです。

──居酒屋をチェーン展開するワタミが介護を始めたときには大きな話題となりましたね。2000年以降、ほかにどのような企業が参入してきたのでしょうか。

八楽舎代表 松田

最も多いのは建築業ですね。業界大手のツクイも元々は工務店です。
建築系の業界が多いのは、地主との長年の関係性から土地の借り上げがしやすく、さらに自社で建物を建てられるというメリットがあったからでしょう。

異業種が多く参入してきた2000年当時は、施設が足りない状態でしたから、さほど運営コストを気にせずとも、利益がしっかり出る経営ができていまいた。

「施設の数を増やす」という命題のもと、数を増やすことを急ぐあまり、電気・ガス・水道・施設賃貸料などの運営コストが適切かあるかどうかまでじっくり検討できぬまま新規施設を開業した企業も多いようです。

──なるほど。
2000年以降、多くの施設が開業し、現在、運営コスト見直しが必要とされている背景には、そんな事情があるのですね。

「介護報酬改定に多くの事業者が戸惑っています」

──介護報酬改定を受けて、事業者はどのような方向転換を目指しているのでしょうか。

八楽舎代表 松田

正直に申し上げて、戸惑っている事業者様が多いようにお見受けします。

介護報酬の点数が下がり、これまでのような売り上げが見込めなくなったいま、
保険点数依存型のビジネスモデルから、新たなビジネスモデルへと転換・拡大を図らなければならない。でも、具体的になにをすべきか、まだまだ決めきれていないようです。

──八楽舎としては、これまでの「コスト適正化」以外に、ビジネスモデル拡大のお手伝いとなるような、事業者向けの新たなサービス展開を考えられているのでしょうか。

八楽舎代表 松田

はい、今後は「コスト適正化を行いながら利益を得る仕組み」をお伝えしていきたいと考えています。

たとえば、介護施設では利用者様に向けて数多くの商品を取り扱っていますが、そもそも物販で利益を出すという概念をあまり持っていません。

介護保険収入以外に利益を出す必要性を感じぬまま経営されてきた事業者様も、今後は収益の柱を複数持たねばなりません。

物販に限らず、企業として当たり前に「利益を得る仕組み」を持てるよう、介護保険依存型ビジネスから転換するためのお手伝いをしていきたいのです。

──事業者が利益を得るために、単に商品の取り扱いを勧めるのではなく、「利益を得る仕組み」を提供しようというのが、八楽舎らしい考えですね。

八楽舎代表 松田

はい、私たちはこれまでも、「モノを売らず、おカネをかけず」初期投資ゼロのサービスをご提供し、事業者様からの信頼を得てきました。
今後もこのスタンスは変えずに、八楽舎が持つ「仕組み」をお伝えすることで、多くの事業者様のお役に立ちたいと考えています。

~【八楽舎代表へのインタビュー②】へつづく~

人材不足の解決策として期待されるAI導入について

介護現場でのロボット導入が急増

介護現場の人手不足を解消する打開策として、大いに期待されている介護ロボットの導入。

国が多額の補助金を出したこともあり、介護ロボットを導入する施設が急増しており、注文対応に追われるメーカーもでてきているようです。

さて、一括りに「AI導入」「介護ロボット導入」と言われがちですが、実際に介護施設のどのような場面でAIを搭載したロボットが導入されているのでしょうか。

また、今後の課題についてもお話ししたいと思います。

介護ロボットが待ち望まれている理由とは?

介護ロボットの導入を期待してるのは、人手不足に悩む経営者だけではありません。介護スタッフや介護を受ける利用者もロボット導入を待ち望んでいます。

そこには、どのような心理的理由があるのでしょうか。

利用者側がロボットによる介護を望む理由

「介護は人の手ですべき」「人の手をかけるのが真心」といった信念を持つ介護スタッフさんがいる一方で、利用者からは「気を遣わなくて済む」「ロボットの介護を積極的に受けたい」という声も聞かれます。

とくに入浴や排せつの場面では、人による介助で気まずく恥ずかしい思いをするよりも、ロボットに頼むほうが気がラクなのかもしれません。

介護スタッフがロボット導入を望む理由

介護職員の半数が腰痛に悩まされていると言われる、過酷な介護現場。
中腰で行うオムツ交換や入浴介助など、腰への負担は相当なものです。

このような肉体的負担が軽減されればと、ロボット導入に期待を寄せる介護スタッフも多くいます。

導入されるロボットの種類

介護の現場に導入され始めている介護ロボットには、大きく分けて3種類あります。

1)介護支援型ロボット

主に移乗・入浴・排せつなど介護業務を支援するロボットで、介護スタッフの肉体的負担を軽減することが目的です。

移乗介護での介護スタッフの腰への負担を減らせるだけでなく、認知症で身体に触れられることに抵抗がある方の心理的負担を減らすこともできます。

移乗介助機器には、介護スタッフが身体に装着して、スタッフの動きを補助する装着型タイプのものと、パワーアシスト機能を持つ非装着型の2種類があります。

2)自立支援型ロボット

利用者の身体に装着し、リハビリでの歩行を補助したり、食事摂取をアシストするロボットです。

歩くときの膝の痛みを軽減する装置を付けることで、億劫になっている外出を促すことができるだけでなく、いままで誰かに頼んでいた日常生活での動作も、ロボットを装着することで自分でできるようになり、利用者の心理的負担が軽くなる効果もあります。

荷物を運搬できる外出向けタイプと、屋内での立ち座りやトイレ移動をサポートする屋内向けタイプの2種類が存在します。

3)コミュニケーション/セキュリティ(見守り)型ロボット

利用者と会話を通じてコミュニケーションを取るロボットです。

「外に散歩に行きましょう!」と提案して外出を促したり、レクリエーションを指導したり、毎日、決まった時間に利用者の様子を家族に知らせる見守り機能を持つロボットも登場しています。

認知症やボケは会話の減少に影響すると言われるなか、ロボットとコミュニケーションを取ることで、認知症予防につながると期待されています。

ケアプランの作成もAIへ移行

介護ロボットの導入が増えるなかで、AIによるケアプラン作成も着々と進められています。

政府系ファンドの産業革新機構と介護大手のセントケア・ホールディング、日揮、ツクイなどが設立した新会社「シーディーアイ」では、愛知県豊橋市と協定を結び、今年の10月から市内5事業者で、約50人の高齢者のケアプランをAIに作成させる取り組みを始めます。

AIが作成したケアプランをケアマネージャーが確認し、利用者に合わせた調整を行った上で、実際に利用者へと提供。3カ月後に利用者の満足度・身体状況の改善度・ケアマネ業務の変化など、効果測定が行われます。

ケアマネージャーの業務軽減にどれだけ貢献できるか、注目が集まっています。

AI導入を早急に進めるための課題とは

介護ロボットの導入、AIによるケアプランの作成は、人材不足の改善策として政府主導で進められていますが、現場では不満の声も上がっているようです。

「技術は素晴らしいが、使い勝手が悪く、介護の実態に即していない」

「装着に時間がかかり過ぎる」

一方、ロボット介護機器の展示会などでは、最新の機器を体験した施設関係者から「想像以上に技術が進歩している」という声も上がっています。

来たる2025年を迎え、介護現場における人材不足がますます加速するなかで、介護ロボットやAIの導入は、急務であると言えるでしょう。

そのためにも、積極的に介護ロボットを導入し、使い勝手の悪さをメーカー側にフィードバックできるよう、介護施設とメーカー側の連携の強化が求められます。

さらに、肉体的負担のかかる作業をロボットに任せ、人の温かさを必要とする対応を人間がやる、という業務の棲み分けも、今後、現場の声を吸い上げながら考えていく必要がありそうです。