マスクや消毒用アルコールの不足に関する調査と国や自治体の動き

新型コロナウイルス感染防止のため、マスクや消毒用アルコールが未だ品薄となっています。

ネット販売などで少しずつ販売され始めてはいますが、価格はまちまちです。

また、近所にあるスーパーやドラッグストアでは常に

 

「本日分売り切れ」

「本日入荷なし」

など、買いたい時にはいつでも買えるという状況ではありません。

 

一般家庭でもコロナ対策や花粉症などで必要とされるマスク。

では、感染症にかかると重篤化しやすいといわれる高齢者が多く利用している福祉施設や事業所では現在、マスクや消毒用アルコールは足りているのでしょうか?

 

一般社団法人全国介護事業者連盟は、

加盟している全国の特別養護老人ホームなど約6000施設を対象に、

「新型コロナウイルス感染症に係るマスクや消毒用アルコールの不足状況」等を、

3月3日~4日にかけて緊急調査しています(有効回答1610件)。

 

それによりますと、約85%の事業所では、「3月分の使用量が十分に確保できていない」という結果が、

更に「在庫が全くない」という事業所も約9%を占める事が明らかとなりました。

1番多かったのが「予定数の41~50%の在庫状況」であり、相当数の施設でマスクが不足している事が分かります。

緊急調査:3月中のマスク使用量確保状況(図:全国介護事業者連盟)

100%(またはそれ以上)確保できている施設も全体の約15%を占めていますが、

本来であれば全ての施設で100%の在庫を確保出来ていなければならない中、

このような状況はやはり早急に解決が急がれる問題です。

3月10日、菅官房長官は参院内閣委員会で、厚労省・経産省・総務省の職員約40人で構成する「マスクチーム」を立ち上げましたと発表しました(立ち上げは9日)。

医療機関や福祉施設などに対し、自治体の備蓄の放出や企業からの優先供給を働きかけ、

マスクが不足している状況に円滑に対応するためとしています。

既に大分県や滋賀県、川崎市などが高齢者施設などにマスクの供給を始めています。

はじめにも書きましたが、

新型コロナウイルスは高齢であればあるほど重篤化しやすいと言われています。

また、昨日のブログでも触れましたが、

高齢者施設にはウイルスを持ち込まない事が非常に重要です。

マスクの使用は感染予防と共に「ウイルスを高齢者へうつさない」という大きな役割もあります。

日々、テレビで報道されているニュースで不安を感じ、ついつい買いだめをしたくなる心理状態に陥りやすいですが、

本当に必要な方々へ行き届くように、

そして私達も本当に必要な数だけを買うように、落ち着いた行動をとっていきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

高齢者施設における新型コロナウイルスへの対応(厚生労働省)

新型コロナウイルスが猛威を振るっています。

3月10日現在で世界の102か国で感染が確認、

感染者はイタリア・韓国・イランの順に多く、特にイタリアとイランの感染者数の増加は著しいものがあります。

 

遡る事2月中旬より、厚生労働省は特別養護老人ホームやグループホーム含む高齢者施設へ向け、

新型コロナウイルスの対策徹底に関する通知を定期的に出しています。

 

簡単に内容を抜粋しますと、

 

ⅰ:高齢者はコロナ感染すると重篤化しやすいと言われる。

高齢者施設において感染経路を遮断するためには、

 

病原体を①持ち込まないこと

②持ち出さないこと

③拡げないこと

 

ⅱ:高齢者施設などの場合、こういった流行性の感染症は施設内から新たに発生して拡がる事は非常にまれであり、

主に施設外から持ち込まれるケースが大半を占めるため、

新規入所者はじめ面会者、実習生等、施設内に入る際には厳重な注意が必要である事

 

ⅲ:基本的な予防(咳エチケット、アルコール消毒、正しい手洗い等)の徹底

 

などが記載されています。

 

 

しかしながら、名古屋市ではデイサービスでの集団感染が発生、

市川市では福祉事業所でのクラスター感染も発生しているように、

感染経路が特定できない感染者も増えている中で、

どれだけ徹底したとしても「感染しない」という保証はありません。

 

親族との面会を禁止・制限を設けたり、

ボランティアの入室を禁止、地域交流会なども中止になるなど、

感染防止のための措置と分かってはいるものの、

 

あらゆる行動や活動が制限される事で生じる、

利用者の大きなストレスも新たな問題として今後出てくるのはないでしょうか。

 

コロナ感染を防ぐための措置により「安全」と、

それに伴う「ストレス」の均衡を図る事は、

施設職員の方々にとっても非常に難しい問題だと思います。

 

 

1日でも早く、コロナの流行が終息を迎え、事態が収束する事を願うばかりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

看取り介護のニーズが高まる中で求められる体制強化について

2040年看取り難民問題

私の親世代である【団塊の世代】が平均寿命を迎えるのが2040年。
年間死亡者数が現在の1.5倍である167万人に達し、内41万人が病院のベッド不足などにより、最期を迎える場所のない「看取り難民」になると言われています。

このような現実を前に、介護施設での看取りが強化。
平成18年の介護報酬改定時に創設された「看取り介護加算」は、平成30年度の介護報酬改定で拡充され、従来からある「看取り介護加算」に加え、「看取り介護加算Ⅱ」が新設されました。

平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度査)によると、特別養護老人ホーム:76.1%、老人保健施設:64.0%、介護療養型医療施設:81.9%が、施設内で看取りを行なっていると回答。

少しでも長く生きられるようにと「生命を維持すること」が優先されていた終末期から、「その人らしい最期を迎えるために、静かに死を受け入れる」終末期を本人や家族が望むようになり、病院から介護施設へと、終末期を迎える場所が移行しつつあります。

介護施設に求められる取り組み

看取り介護のニーズが高まる中、介護施設の体制強化が求められます。
医療機関との密な連携はもちろんのこと、介護スタッフが行う医療行為の幅も広げる必要があり、介護福祉士の資格取得を推奨するなどの施設側の取り組みが必要となるでしょう。

また、医療ケアなどの技術面のほかにも、介護スタッフの精神的負担にも配慮しなければなりません。介護スタッフは医療スタッフほどには「人の死」には慣れていませんので、看取りに立ち会ったあとのメンタルケアが必須です。
利用者に向き合う介護スタッフが、一人で責務を背負い込みすぎることなく、悔いなく対応できるよう、関係者間のカンファレンスや看取り介護計画を充実させる必要もあります。

在宅での看取り介護

厚生労働省の調査によると、「最期まで自宅で過ごしたい」という人は全体の約10%です。ただし、これは「家族に負担をかけたくない」という思いがあってのこと。
「自宅で介護を受け、必要になったときにだけ、医療機関や緩和ケア病棟に入りたい」という人も合わせると、在宅看取りを望む人は全体の約60%にのぼるそうです。
慣れ親しんで家で、見慣れた家具や庭の風景を愛でながら、家族に囲まれ、静かに眠るように最期を迎えたいというのは、人間のごくごく自然な感情です。

このような背景もあり、厚生労働省では、現在、在宅看取りの体制強化を目指しています。
介護施設であれば、医療スタッフ含め、複数のスタッフが揃っている為、容態急変などにも臨機応変に対応できますが、在宅看取りとなると、医療スタッフ不在時においては、介護施設以上に介護スタッフによる、医療ケア、医療行為が求められます。

これからは「介護サービスの質」だけではなく、看取り介護に対応できる施設であるかどうか。さらには、在宅看取りへの切り替えに対応できる施設であるかが、施設選びのポイントのひとつになります。

利用者様やご家族に選ばれる施設となるために、看取り介護のサービス拡充に向けた、体制作りが急務と言えます。